積立投資について
さて、さきほど分散投資について書きましたが、実はもう1つ、分散投資に大事なものがあります。
それは、時間(タイミング)です。
投資するタイミングを分散することで、リスクを下げることができます。そして、それを簡単に行う方法が積立投資なのです。
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タイミングを分散する
例えば、ある会社の株価が100円だったとします。
積み立てないAさんの場合
- Aさんは100万円持っていて、一気に1万株買いました。
- 1ヶ月後、株価は90円になってしまいました。マイナス10万円。
- 2ヶ月後、株価は70円に。マイナス30万円。
- 3ヶ月後、ついに50円になってしまいました。マイナス50万円。
- 4ヶ月後、いいニュースがあって100円に戻りました!プラマイ0。
- 5ヶ月後、110円に上がりました。プラス10万円。
株価 | 購入株数 | 保有株数 | 平均買付金額 | 損益(万) | 残金(万) |
---|---|---|---|---|---|
100 | 10,000 | 10,000 | 100 | 0 | 0 |
90 | 0 | 10,000 | 100 | -10 | 0 |
70 | 0 | 10,000 | 100 | -30 | 0 |
50 | 0 | 10,000 | 100 | -50 | 0 |
100 | 0 | 10,000 | 100 | 0 | 0 |
110 | 0 | 10,000 | 100 | 10 | 0 |
積み立てるBさんの場合
- Bさんは100万円持っていますが、月々20万円ずつ買いました。まず2千株です。
- 1ヶ月後、株価は90円。マイナス2万円。ここで2千株追加。現在4千株。
- 2ヶ月後、株価は70円に。マイナス10万円。ここで2千株追加。現在6千株。
- 3ヶ月後、ついに50円に。マイナス22万円。ここで4千株追加。現在10千株。
- 4ヶ月後、100円に。プラス28万円。ここで2千株追加。現在12千株。
- 5ヶ月後、110円に。プラス40万円。
株価 | 購入株数 | 保有株数 | 平均買付金額 | 損益(万) | 残金(万) |
---|---|---|---|---|---|
100 | 2,000 | 2,000 | 100 | 0 | 80 |
90 | 2,000 | 4,000 | 95 | -2 | 62 |
70 | 2,000 | 6,000 | 86.66 | -10 | 48 |
50 | 4,000 | 10,000 | 72 | -22 | 28 |
100 | 2,000 | 12,000 | 72.66 | 28 | 8 |
110 | 0 | 12,000 | 72.66 | 40 | 8 |
さて、どうでしょう?Aさんはプラス10万円に対して、Bさんはプラス40万円で、しかも保有している株はAさんよりも多くなりました。
もちろん、Aさんのほうが得になるパターンもあります。 株価がじつは100円が底値で、ずっと上がり続けたときです。 そのパターンのときに重要なのは、Bさんは別に損はしていないということです。
リスクも分散される
また、途中経過にも注目してほしいと思います。3ヶ月目でAさんは資産が50%になっていますが、Bさんは78%あります。 タイミングをずらすことで、リスクを分散することができるのです。
私がAさんならば、多分パニックになっていて、 「なんてことをしてしまったんだ!あんな会社に投資するんじゃなかった!もっと損をするかもしれない。もう売ってしまおう…」 と思って50万円の損で確定させてしまっていたかもしれません。暴落するときというのは、投資家の大勢がそんな心境になってしまったときです。 また、そんな心境だと仕事にも影響がでます。正直、リーマンショックのときは仕事に影響が出るほど辛い心境でした。なので、心理的に辛くなるような投資はしてはいけません。
積立投資は購入単価を下げる
実は、タイミングを分散する効果はさきほどの例にも含まれていますが、積立投資は買い増す量が調整されます。安いときに多く買い、高いときには少し買うことになります。 こうすることで、平均取得単価を下げることができるのです。これを、ドルコスト平均法といいます。
積立投資は投信が有利
先ほどは株を例にしましたが、じつは株には扱う単位があります。Bさんは3ヶ月目に20万円あるのに14万円分の株しか買えませんでした。 なぜならば、その株は千株単位でしか売買できなかったためです。 残りの6万円は、次のタイミングなどで使うなどすればいいでしょうが、バラバラになりますね。
しかし、投資信託は普通に売買するときでも、1万円以上1円単位で売買できます。今度は、投資信託の例で書いてみましょうか。
とある投資信託の基準価格が1万円だったとします。
積み立てないCさんの場合
- Cさんは100万円持っていて、100万円分買いました(100万口)。
- 1ヶ月後、9000円に。マイナス10万。
- 2ヶ月後、7000円に。マイナス30万。
- 3ヶ月後、5000円に。マイナス50万。
- 4ヶ月後、10000円に。0。
- 5ヶ月後、11000円に。プラス10万。
基準価格 | 購入口数 | 保有口数(万) | 平均買付金額 | 損益(万) | 残金(万) |
---|---|---|---|---|---|
10,000 | 100 | 100 | 10,000 | 0 | 0 |
9,000 | 0 | 100 | 10,000 | -10 | 0 |
7,000 | 0 | 100 | 10,000 | -30 | 0 |
5,000 | 0 | 100 | 10,000 | -50 | 0 |
10,000 | 0 | 100 | 10,000 | 0 | 0 |
11,000 | 0 | 100 | 10,000 | 10 | 0 |
積み立てるDさんの場合
- Dさんは100万円持っていて、月々20万円ずつ買いました。
- 1ヶ月後、9000円に。マイナス2万。22万2222口購入。
- 2ヶ月後、7000円に。マイナス10万4444円。28万5714口購入。
- 3ヶ月後、5000円に。マイナス24万6032円。40万口購入。
- 4ヶ月後、10000円に。プラス30万7937円。20万口購入。
- 5ヶ月後、11000円に。プラス43万8730円。
基準価格 | 購入口数(万) | 保有口数(万) | 平均買付金額 | 損益(万) | 残金(万) |
---|---|---|---|---|---|
10,000 | 20 | 20 | 10,000 | 0 | 80 |
9,000 | 22.22 | 42.22 | 9,474 | -2 | 60 |
7,000 | 28.51 | 70.79 | 8,475 | -10.44 | 40 |
5,000 | 40 | 110.79 | 7,221 | -24.6 | 20 |
10,000 | 20 | 130.79 | 7,646 | 30.79 | 0 |
11,000 | 0 | 130.79 | 7,646 | 43.87 | 0 |
投資信託の場合、月々20万円積立てようと思ったら、丸々20万円分買うことができます。100株、1000株ごとに売られている株では、なかなかこうはいきません。
決まった金額で、安い時になるべく多く買い、高い時に少ししか買わないことを繰り返すことがができるので、投資効果が出やすくなります。
精神的余裕を生む積立投資
また、精神的にも余裕が生まれます。どういうことかというと、「安い時は仕入れ時である」と思えることです。
投資信託は元本保証はありませんから、マイナスになることはありえます。 1度にドカンと買っただけの場合は、ただただ上がるのを祈るだけで、下がったら困るだけです。
しかし、積立投資の場合は、下がったらたくさん仕入れることができるので、購入単価を下げるチャンスである、と捉えることができます。
また、あまりにも下がるようだったら、積み立てるのを一旦やめるということもできます。 先の例では、3ヶ月後に下がりすぎててもっと下がるかもしれないと思ったら、残りの投資資金である40万円は投資せずに様子を見るということもできるわけです。
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